遷座祭(せんざさい)と奉幣祭(ほうべいさい)
小國神社
秋も深まるこの頃ですが、まだまだ日中は暑い日が続きます。夜風や朝の空気は清々しく今年の紅葉の具合が気になるところです。
さて、「伝統宗教」として私たちの慣習に深く根差した、神社やお寺には年間を通して大切な儀式が沢山あります。
難しい名前の儀式や作法など、見たこともないような漢字をみるとそれだけで頭を傾げてしまうものもあるかもしれません。
しかしながら、そのすべてに共通することは、「国の隆昌」と「地域の繁栄」そして「世界の平和」を祈るものです。
小國神社では、年間90以上(ご本社以外も含め)の儀式があり、毎朝の祭典を含めると450以上の恒例の儀式があります。この他にも、天皇陛下の行幸啓(ご移動)の際、コロナ禍における疫病鎮静や災害などによる国土の復興を祈る臨時祭典などもあります。
本年、小國神社では「令和のお屋根替え」に伴う臨時祭典「遷座祭」(せんざさい)・「奉幣祭」(ほうべいさい)を11月10日午後7時、11日午前10時の2日間にかけておこないます。
小國神社の歴史上、数えるほどしかないとても貴重なお祭りです。
ここでは、小國神社における両祭典についてお話をいたします。
(仮殿遷座祭 仮のお社に静まる大神様(令和3年1月18日))
◆遷座祭について◆
遷座祭とは、これまでお屋根改修のために仮殿(仮の神さまのお社)にお遷りいただいていた大神様に、新たになった御本殿(元の場所)にお遷りいただく祭儀です。
実に45年ぶりの御本殿お屋根替えに伴うご神霊のご動座となります。新しくなった御本殿に鎮まられることで、ご神威(ご加護)が益々輝くとされます。
数ある祭儀のなかでも浄闇のなか行われる最も重要な儀式の一つです。
(仮殿遷座祭 献饌 大神様にお供え物を供えます(令和3年1月18日))
◆奉幣祭について◆
奉幣祭とは、ご神霊がお遷りになる本殿遷座祭と一体を成し、天皇陛下より賜る「御幣物」と神社本庁からの「幣帛」をご神前に供え、遷座を祝う祭儀です。
延喜式(延長5年/927年)には、「初使至レ社奉幣之後、於二社前一給二両社禰宜、祝及忌子等祿一」とも記され、古い時代より、奉幣が行われていたことが伺えます。
祭典では、ご皇室の弥栄と地域の安寧そして、世界の平和をお祈りします。
◆令和のお屋根替え~次世代へ繋ぐ、祈り、技、美~◆
令和のお屋根替え公式WEBサイト
(葺き替え後のご本殿屋根頂上より 銅板も美しく輝いています。(令和3年10月7日))
令和元年より天皇陛下の御即位を記念し、小國神社の檜皮葺き屋根(令和2年ユネスコ技術遺産に登録)を改修を進めています。完遂は令和5年を予定しています。
本事業は、お屋根の葺き替えを通して、日本の祈りの心、伝統の技、そして固有の美を次世代に繋ぐものです。皆様のご理解とご支援を頂きながら進めています。
(朝日に照らされるなか、千木が据え付けられました。(令和3年10月7日))
◆むすびに◆
本年は、小國神社にとりまして、意義深い年です。新しく葺き変わった御社殿に神さまがお戻りになり、ご神威も改まり、美しい紅葉の季節とお正月を迎えます。
ご参拝の際は、ご本殿の荘厳な姿をご覧になっていただきたく存じます。
引き続き、令和5年の工事完遂にむけ、篤いお心をお寄せいただきますようお願い申し上げます。
静岡木工公式YouTubeチャンネル「令和の屋根替え、伝統の継承とは」
こちらもぜひ、ご覧ください。
(朝日に照らされた檜皮の美しい屋根(令和3年10月7日))
2021.10.10