大国様、大黒天様を探して、、、。ー神仏を分け隔てなく敬うこころー
小國神社
まだまだ暑い日が続きそうですが、早朝の空の色や澄み渡った空気には秋の気配を感じる頃となりました。
感染症対策を怠らず、心静かにお参りいただき、神仏のご加護をお受けいただければ幸いに存じます。
さて、今回の更新では小國神社のご祭神「大己貴命」(大国様)と普門寺の客殿にお祀りされている「大黒天像」(大黒様)についてのお話です。
神社にもお寺にもお祀りされる『だいこくさま』。
その根底には、私たち日本人の「おおらかな信仰心」がうかがえます。
それでは、まずは、大国さま、大黒さまはどのような神さまなのでしょうか。
◆大己貴命(だいこくさま)◆
小國神社のご祭神は「大己貴命」(おおなむちのみこと/大国様)別名は大国主命(おくにぬしのみこと)と言います。この神さまは、日本の神話「古事記」(712年)や日本初の歴史書「日本書紀」(養老2年/720年)にも登場し、日本の礎をつくられた尊い神さまとして信仰されています。
また、古事記の逸文「因幡の白うさぎ」が記されたように、傷ついたうさぎを助ける心優しい神さまです。
一方で、多くのご神名を持つことから(その数は40以上といわれます)、広大なご加護を頂ける神さまでもあります。
小國神社では、特に人々の縁(えにし)を結ぶ神さま、厄除けの神さまとして、親しみ敬われています。
(小國神社参道脇にある大国様のお姿)明治38年:文部省唱歌「だいこくさまのうた」)
◆日本における大黒天(だいこくさま)の広がり◆
日本における大黒天の始まりは、インドのヒンディー教の主祭神として「強さ・財・死後の世界」を司る神さまです。インドの仏教と習合しシルクロードを経て、中国では寺院の厨房に「財神」としてお祀りされてきました。
後に、「福の神」としても性格を強め、七福神の一つとなります。
日本においては、音韻が似ているとされる大国主命(おおくにぬしのみこと)/だいこく様と習合してゆき、米俵の上にのり大きな袋背負い、打ち出の小槌を握っている姿となります。
(普門寺 大黒天像 天文11年(1542))
普門寺の客殿には、今から400年以上前の室町時代に造られた「大黒天像」がお祀りされています。優しく穏やかな表情は、今も変わることのない神さまのご加護を象徴しているようです。
高野山東京別院でも特別の御開帳がありました。
◆神仏を分け隔てなく敬う心◆
このように、我が国では海の向こうから来た異国の神さまを排除することなく長い時間をかけて日本古来の神さまと一緒になることが多々あります。
渡来の神さまや異界の地から来た神さまを客神(きゃくじん)としてお祀りする慣習や、外部からの来訪者である客人(まれびと)を手厚くもてなす慣習が古くからありました。
このような精神的な土壌があるために、分け隔てなく神仏を敬う心が醸成されてきました。
混沌とした時代に、このような「心」の在り方がこれからの未来を明るく照らしだすように思います。
(スペシャルムービー『小國神社ものがたり』より:大国さまが傷ついたうさぎを助けるシーン)
2021.08.30